Articles from 12月 2011



生きる道

人それぞれ仕事や趣味など、日々の生活においてや人生観は違うと思うが、
俺にとっては働く事が、身体を使い動き続ける事が一番の趣味であり、仕事であり、生きがいだった。

毎日毎日朝から晩まで曜日も関係無く動き働いていた。

日々新しい発見と自分が作り出した形に満足していた。
雨の日も風の日も雪の日も毎日が大好きだった。

あの原発事故後そんな俺の生活は一変してしまった。

毎日が夢も希望も無く現実をどうするかばかり…。
確かに身体は楽になったかもしれない。しかし心は全然楽になっていない。
それどころか毎日毎日気分は悪くなるばかり。今までは明日につながる事がいっぱいで本当に幸せだった。
全国をまわって見ても美味しい物を食べても心からの満足は無い。
遊び何て知らなくてもいい!

そう、俺には心を動かす仕事さえあればいい。

俺は最後まで仕事だけは信念を貫きたい。

翼よもう一度…

いつからだろうこんなに動けない身体になってしまったのは。

動けない自分が情けなくなる。

自分自身が自分を動けなくそして醜くしてしまったのに、他人のせい、仕事のせい、
年齢のせいにして逃げてばかり後まわし、そんな自分がことごとく嫌になる。

自分にはまだまだ気力,体力があるはず!

取替えしたい、自由に野山を駆け巡りうごけた身体を…

出来る事なら負けたく無い。

今、施設もできず、山にも入れずまだまた先は見え無い。
しかし悔しくて仕方ない。

仕事も出来無く身体も動かない。
このままでは終われ無い。
負けたく無いしあきらめたくない。

いつか必ず近い内にみかえしてやりたい!

発明家

先日、栃木県那須の非電化工房の見学会にうちの怪しい職員sと行ってきた。

しかし、非電化工房は決して怪しい所ではなく、こじゃれた森の中にあった。
そこを主催する藤村靖幸さんは一見怪しいおじさんに見えるけど、実はとっても素敵な人だった。

見学会の話をする前に、非電化工房についても話しておこう。
非電化工房とは非電化冷蔵庫や非電化除湿機など様々な電気を使わない生活用品を研究・開発している所だ。
最近ではテレビやラジオ、雑誌などでも取り上げられることが多くなってきたので知っている人もいるかも知れません。

話を見学会に戻すと、最初に藤村さんの話から始まり、その後敷地内・室内にある非電化冷蔵庫やストローベイルハウスなど
数々の非電化製品をぐるっと見てまわった。
その後、藤村さんから発明の秘話や裏話などいろんな話を聴かせてもらった。

 

この非電化工房は製品が面白いのもあるけれど、僕が一番興味を持ったのはは藤村さん本人の話や考え方だ。
「いいことしかやらない」「いい人しか買わない」「客をつなぐ仕事」「ぬくもりある人間関係」
「奪い合いではなく分かち合い」「そこにあるもので作る」「金をかけない」
「電気のある生活は否定しない必要以上に使わないようにしましょう」

など僕の心をくすぐる様な言葉を連発しその言葉全てにドラマがある!
話を聞いていてうれしくなってしまいました。

原発事故後、ずっと悩み考えていました。もちろん今も考えなやんでいます。
しかし藤村さんの話を聞いた事でこれからの人生をどう進むべきかが少し見えたような気がしました。

 

どうなの?

いよいよ12月になってしまい後もう少しで今年も終わってしまいます。
雪が降り始めまた冬がやってきました・・・

そんななか僕には疑問に思う事や誰かに本当の事をはっきりと教えて欲しいと思う気持ちでいっぱいです。

まず今のこの原発や放射能物質の問題。
本当に平気なのか駄目なのか?命に何の影響は本当にないのか?人は住んで良いのか・悪いのか?
原発終息はいつなのか・本当にその間何事もないのか・・・

これからの福島県はどうなるのか?南相馬市はどうなるのか・・・

東電はどこまで補償をしてくれるのか?全てを震災前に戻してくれとは言わない。
しかし少なくても今までの楽しい仕事や生活を返して欲しい!

 

ウサギとカメ

「自分を例えるならウサギとカメどっちのタイプ?」と聞かれることがある。

僕を知っている人はウサギだと思っている人が多いのですが、僕自身はカメだと思っています。
僕は器用だと思われているようですが、本当は不器用です。
人一倍できないと自覚しているから、何とかしようと思うし、努力もする。
特にそれが仕事に関することであれば殊更だ。
人よりやっている時間が長いのだから、それを続けていれば人よりも当然うまくなります。
きちんと努力し上達して誰にも負けないようになっているので、最初からうまかったと思われたり、
ウサギタイプだと思われるのは少し心外です。

僕は自分のオリジナリティを発揮して行われる試験には強いのですが、型に入った方法でやる試験には弱く、
何度も落ちています。
自分はプレッシャーに弱いのかなと思うことさえあります。
試験に一発で受かる人もいます。
僕は試験に落ちても、その後、練習をします。
それは試験に落ちても実践でやれればいいと思っているからです。

試験に一発で受かる人はウサギかも知れません。
頭の良さとセンスがある人が受かるようです。
だけど、試験に受かったから何でもできるわけではありません。
試験に受かった1級建築士よりも良い建物を作れる2級建築士もいますし、
免許を持っていない人にもそういう人はいます。
建築家の安藤忠雄だって大学を出ずに独学で世界的な建築家になった人です。
学歴や資格だけではその人は語れないという良い例だと思います。

僕から見るとみんなウサギに見えます。
なんで努力しないんだろうといつも不思議に思っています。
もっと練習すればずっと高い位置にいけるのに・・・。
僕はスチュワーデス物語じゃないけど、ドジでのろまなカメだから、
誰よりも努力して人よりもうまくなりたいと常に思っています。

震災後に初めてこんなにのんびりとしただけで、今までは一年365日フルに動いて一日のほぼ仕事や本を読み会社や
現場にいました。
仕事に関連する事以外震災前はした事がありません。
最初から何でもできた訳ではありません。

僕は今、チャレンジャーの子供と関わる仕事をしているけど、子供のことを大学で勉強したわけではないし、
何か特殊な資格を持っているわけではありません。
ただ「子供達はかわいい」「この子供達を何とかしたい」「どうすればよくなるか」ということをずーっと考え続けています。
真剣に考え続けていると段々と見えてくることがあります。
それが僕の信念になっていますし、それは「想い」と「努力」の積み重ねでしか得られないものだと僕は考えています。

余談ですが、よく「道具をたくさん持っていますね?」と羨ましがられる事もあるけど、これも勘違いです。
僕は他の物を買わずに道具にお金を使っているのでそう思えるだけです。
中古のものが大多数です。新品でしかいけない物はやも得ず買います。
仕事で必要な物が最優先で個人的な趣味のものは後です。

まぁ仕事が趣味みたいで生きがいですから・・

人の縁

先日大阪に行きました。

なんで?と思うかも知れませんね~。

実は先日、中古の車を買ったのですが、その元オーナーから機会が有れば会いたいですね、と連絡があったので、名古屋での用事と併せて寄ってみる事にしたのです。

こんな話、あまりある事ではないのですが、なんとなく虫の知らせなのか会って見たくなり、予定を組み替えて大阪まで足を伸ばすことにしました。

今乗っている車は少し古いタイプのランドクルーザーで、今後県外で仕事をする事も視野に入れて長距離移動が楽な荷物をたくさん積める車が欲しいと思って探していたところ、偶然ネットオークションで見つけ出したものです。

落札はしてみたものの、双方の事情が噛みあわずに、大幅に遅れました。

本来ならご破算になってもおかしくなかったのですが、時間が過ぎてもお互いの気持ちは変わらず、僕が所有する事となりました。

古い車なので、電気系統が弱いのかパワーウインドウが壊れたりしましたが、必要な時は扉ごと開けるという裏技(?)を使って、不便さを楽しみながら大事に乗っています。

さて、大阪であった前オーナーUさんは奥さんと一緒に初めて会う僕を出迎えてくれました。

Uさんはとても背が大きく優しい顔をしている人でした。

奥様は背の小さくて可愛らしく優しい顔をしていました。

ランドクルーザーを見て、懐かしそうにうれしそうに・・・・

奥さんも同じように、娘の里帰りでも見てるような表情を浮かべていました。

今までどれだけこの車を大事にしてきたのかわかりました。

大事に本当にしていたんだな~としみじみ思ってしまいました。

夜、上田夫妻と一緒に食事をしました。

美味しい食事をごちそうになりました。

ランドクルーザーは、一番儲かっていたときに乗っていた車で、数々乗ってきた車の中で一度も事故を起こさなかったラッキーカーなんだそうです。

どんな商談や様々な現場に行ってきた相棒で、色々な所に旅に使ったパートナーだったのです。

大事に大事に乗ってきたので、一度は手放したものの、もしも僕が要らないと言えば買い戻そうとすら思っていたそうです。

大阪まで戻ってきたこの車を見てお二人が浮かべた表情のなぞがこれで解けました!

その他にも色々な話をしました。

Uさんは、管工事業の会社や貿易商社をやっていること。

昔聴いた声をもう一度聴きたくなって、メジロを捕まえて怒られた話。

僕の子供達に対する想い、教育論。

お互いの家族の話。

お互いの夢の事、仕事のこと、・・・・・。

話してみて、共通点が多いのにびっくりしました。

Uさんはもちろん僕よりも大先輩です。

その大先輩に共通点がある、すごくうれしい事です。

お互いに仕事には「夢」や「物語」が必要であると考えている事とか、人との縁を何よりも大事にしている事とか、道具や物を大事にしている事とか・・・・。

しかも奥さんは元保育士さんです!

さらにUさんは宮崎県の出身なんだそうです。

実は、この車は僕のお金で買ったのではありません。

1月にうちの会社に入ったものの原発事故で山に入れなくなり、余儀なく福島から離れる事になったM君が東電からの仮払金が入ったのを会社のために使ってくれとワザワザ送ってくれたお金で買ったものなのです。

僕にとっても何よりも素敵な車なのです。

彼は1月末にうちの会社に入り、3月11日に被災して翌日には僕の実家である埼玉に他の従業員達と一緒に避難しました。2~3週間一緒に避難生活をした仲ではありますが、その後福島県から離れる選択をしたので、彼との付き合いは正味3ヶ月ほどしかないのです。

そんな彼が、自身も生活は楽ではないはずなのに、「世話になったから」「離れてしまうけど会社が好きだから」と送ってくれたお金でこの車を買うことができました。

彼は今、宮崎県で林業をしているのです!

なんという偶然でしょうか!

1台の車をきっかけにして本当に気の合う人を結び付けてくれた、人の縁や運を感じた1日となりました。

 

一流の仕事

昨日、県の産業振興課にある相談をしに行った。

今、僕には一つの夢がある。

それは、南相馬市をはじめ、浜通りの子供達に一流の音楽家の演奏を聴かせたい
というものです。

放射能汚染によって窮屈な生活を強いられている子供達に音楽という楽しみと
癒しの時間を与えたいという事ももちろんあります。

それ以上に大事なのは「一流」の人達がどんな仕事をするのか、自分の目で見て
聞いて欲しいのです。

以前にも書きましたが、日本フィルハーモニーの演奏会に行った時に、その演奏も
さることながら演奏家の集中力の凄さに感銘を受けました。
一流のする人の仕事から学べる事はたくさんあります。
二流の仕事しか見たことがない人は一流にはなれません。
たとえ仕事内容が違っても一流の仕事には相通じる物があります。

そこで日本フィルハーモニーに南相馬市などに来てもらって年4回の演奏会を開き、
そして子供達を東京の大ホールの本物の演奏にも招待しようという計画を立てて
協力を得るために産業振興課に足を運んだのです。

担当の方に一通りの説明を終えて、返ってきた言葉にびっくりしました。
「子供達に音楽を聞かせることが地域振興にどうつながるの?」

???

子供達の感性や社会性を育てていくことが地域の未来につながっていく事すら
わからないのでしょうか?
事務的な回答しかできず、子供達の事を思いやる気持ちさえも簡単に打ち消してくれる
その姿勢にも腹が立ってきます。

以前、子供達を喜ばせたくて、日本フィルハーモニーを南相馬市に呼ぼうとして
市役所に掛け合った所、「それがどう市にどう役立つのか」「お金がないからできない」
とか後ろ向きの言葉しか返ってきませんでした。

お役人さんには共通して想像力が欠けているのでしょうか?
画一的な仕事に慣れてしまうと、見えるべきものも見えなくなってしまうのか・・・。
恐らく一流の音楽家の演奏にも触れたことがないんだと思います。

担当の方にもっとイメージしやすいように、もう一度計画書を練って出すつもりです。
もしも県の理解を得られずに助成金を得ることができなければ、この計画はとん挫
してしまうのでしょうか?
いえいえ、子供達に一流の音楽家の仕事に触れさせる夢をあきらめるわけにはいきません。

どんな事をしてでも実現させたいと思います。